14.安らかに眠って下さい。
   再び過ちは繰り返しませんから

広島原爆犠牲者慰霊碑には「安らかに眠って下さい。再び過ちは繰り返しませんから」と、書かれています。最初これを見た時、違和感を覚えて戸惑いました、

「原爆で犠牲になった人達は何も悪いことをした訳でも過ちをしたことも何一つないのに、“過ちを繰り返しません”とは、何事だ。真珠湾攻撃が誤りであり、その償いを広島の犠牲者をしたとでもいうのか。一体、この文章の主語は何だろう。英語ではなんと言うのだろう。」と、疑問が浮かびました。主語がアメリカなら解るような気もしますがそれも変です。そんな筈はありません。

問題解決を国家が戦争という力に頼ろうとしたその行き着く先が原爆であってみれば、原爆を投下したアメリカと日本が、加害者と被害者の立場を超越した一段高い人類としての次元に立って、国際間の紛争解決の手段としての戦争に頼ったことを反省し、今後はこのようなことを繰り返さないように努力していこうとする決意を示したものだと思います。

平岡啓前広島市長はこれについて、「過ちとは、人類が戦争を起こすことであり、戦争に勝つために原爆を開発し、使用したことです。」と、述べています。

「より少ない犠牲で戦争を終結させるための原爆使用が正当だった。」とする理論の行く先は、限りなき核兵器の使用となり、全世界が広島となること繋がることを明確に示して、唯一の原爆被爆国であり核を持たない日本の立場から日本政府自身が戦争責任を歴史的に総括した上で、核の使用がその無差別性・残忍性の点で明らかに国際法違反であることを世界を強く訴えて核廃絶の主導権をとるようにさせなければならないと思います。

発展途上国に日本の廃水処理技術を技術移転するODAがらみの仕事で、中国、インドネシア、フィリピン等に行く機会が多く、北京の戦争博物館では中国側から見た日本軍の中国侵略の記録を見ましたし、インドネシアから来日した研修生と一緒に、広島平和記念資料館を見学したこともあります。そんなことから、物事を考える場合の視点を、日本以外の国に移し、日本の侵略によって被害を受けた国々の立場に立って考えてみることが多かったので、原爆投下問題についても、広島がその悲惨な被害状況を訴えるだけでなく、日本自体も加害者である責任があるとの認識を正面からとらえて、加害者や被害者と言った立場からでなくこれを越えた全世界全人類としての立場から、反省すべきところは反省し、冷静に歴史的な総括をした上で行動を起さなければ、それらの国々の人々の共感を得て、大きな動きすることが出来ないと思うに至った次第です。


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