宇宙

宇宙の誕生

 まず、我々がどこから来てどこに行くかを知ろうとする前に、今いる我々の位置について知らなければならない。どのような場所にどのようにいるのか、そりゃ、日本だったら郵便番号を調べて住所を書けばいいだけだ、と思ったら、すっとこどっこい、実は、それだけじゃあ何も解決にならない。どうしてそこに住むようになったのか?どうして生きていられるのか?どうしてそういう考えを意識できるのか?そもそものことの始まりはどうなっていたのか?・・・つまるところ、我々のいる宇宙についての成り立ちから考えないと、現在いる位置がとらえられないと言うことになるんだろう。
自然科学が芽生える以前には、人々は天地は擬人化された神によって形成されたと考え、宇宙の中心には大地がありそれを海が取り囲むという姿を考えていた。古代ギリシャのヘシオドスによる『神統記』、インドの『ウパニシャッド』、中国の『山海経』、日本の『古事記』『日本書紀』、そして『旧約聖書』などの神話を見ると興味深い。しかし、古代ギリシャからすでに、地球や太陽の大きさを合理的な考え方で推定し、当時の物質観を基準にその起源を論じていた人たちもいたそうである。
20世紀に入って、宇宙の歴史は空間の歴史であることがわかり、宇宙創生、物質誕生といった事柄も科学の視野に入ってきたのだそうだ。
ところで、1989年に打ち上げられたCOBE衛星による宇宙マイクロ波背景放射の測定は、背景放射の全天マップの作成を可能にし、インフレーション・モデルの妥当性をサポートすることになり、2001年に打ち上げられたMAP衛星は、後にWMAPと呼ばれるようになり、その観測結果から次のことがわかるようになったそうである。
※ 現在の宇宙モデル(インフレーション+宇宙定数+暗黒物質)が高い精度で裏づけられた。
● 宇宙の曲率はゼロである。
● 宇宙の膨張は加速している。
● 宇宙の年齢は137±2億年である。
● 密度ゆらぎの種は、宇宙初期にすでに存在していた。
● 宇宙の構成要素の比率は次の通り。バリオン(既知の物質)が4%、暗黒物質が23%、暗黒エネルギーが73%。
以上が、主な成果であるということだそうだ。

さて、宇宙は非常に小さな物質など何もない真空の宇宙空間がまず誕生したと考えられている。そしてそれが急激にある程度膨張したあと、ブレーキがかかって緩やかな膨張に変わり、それと同時に多量の物質が出現したそうだ。ところで、真空の状態にはいろいろあるそうで、水が氷になるように真空の状態も移り変わるときには、エネルギーの出入りが起こるそうで、宇宙が始まったばかりの時の空間がエネルギーの低い真空ではなかったとすれば、それはエネルギーの低い真空に変わろうとして、エネルギーを放出してそれと共に膨大な電磁波や粒子をこの空間に発生させたと考えられている。粒子は一般に不変なものではなく、生成・消滅を繰り返している。その粒子を作り出すのにエネルギーが必要だと言うことだ。さて、このように考えられる宇宙をビッグバン宇宙と言うが、まず、粒子の発生があり、一万分の一秒後までを素粒子の宇宙、3分後までを陽子・中性子の宇宙、38万年後までを水素・ヘリウムの原子核の宇宙と言い、その後宇宙の晴れ上がりと称して原子の宇宙が出来てきたと考えられている。
真空状態から粒子が出現する場合には、必ず粒子とその反粒子がペアになって出てくるそうで、同じ数だけ出現すれば全体としてはもとの真空、つまり何もない状態に戻りそうなものだが、現実はそうならなかった。これは宇宙が冷えて重い粒子が消えていく過程で、クォークの数が反クォークの数より多くなり、電子の数が陽電子の数よりも多くなったのではないかと考えられている。
宇宙が晴れ上がったというのは、プラズマの支配する宇宙の時代が終わりを告げ、光が直進できるようになったと言うことで、今から約140億年ほど前のことだった。宇宙空間が誕生する瞬間には、その温度は無限大、物質の密度も無限大と考えられ、1000億分の1秒後頃のビッグバン宇宙の温度は5000兆度程度で、その後、時間のほぼ平方根に比例して宇宙は膨張し、また、平方根に反比例して温度は下がっていった。こうして約5億年までの間にダークマターの凝縮が起こり、最初の星の形成が行われたと考えられる。その後は、星の形成と爆発の繰り返しが起こり、星の内部での元素の合成が行われ、現在から約46億年前になって太陽系の形成が行われたとされる。
ビッグバン以前の宇宙はどうなっていたのだろう。宇宙の始まりから10のマイナス43乗秒といった短時間では一般相対論では通用しなくなり、量子重力理論が必要になるそうだ。宇宙項の存在によるインフレーション理論、虚数時間の宇宙創世論、超弦理論の研究などが行われているということだ。


(Ref.「[入門]超ひも理論:広瀬立成著」、「はじめての地学・天文学史:矢島道子/和田純夫著」、「宇宙の素顔:マーティン・リース著」、「暗黒宇宙の謎:谷口義明著」、「宇宙創成から人類誕生までの自然史:和田純夫著」、)
 

天の川銀河

天の川銀河をはじめ、近くの銀河はだいたい大きさは10万光年、質量は太陽質量の100億倍から1000億倍もある。これほどになるまでには100億年以上もの歳月が必要だったそうだ。
太陽系がある銀河を「銀河系」(天の川銀河)、その他の銀河を「銀河」と呼ぶ。銀河が数個から50個くらい集まったものを「銀河群」、数百個から数千個の銀河が1000万光年くらいの範囲に集まっているものを「銀河団」というそうだ。さらに巨大な「超銀河団」は数万個の銀河を含み、直径が数億光年だそうだ。銀河系(天の川銀河)は、約6000万光年の広がりのおとめ座銀河団を中心にして、ハロー状に広がる直径約1億光年の局部超銀河団の一つだそうだ。銀河系のすぐそばには、「大マゼラン雲」と「小マゼラン雲」、230万光年離れて、「アンドロメダ銀河」がある。宇宙全体には、このような銀河が1千億個以上あるらしい。
「超銀河団」は巨大な「泡構造」の表面に分布していて、これは「ボイド(空洞)」という約1億光年以上の大きさを持つものが「泡」のようにいくつも連なっている「宇宙の大構造」を作っている。また、銀河系から4億光年ほどのところに銀河が数千個も含まれる巨大な泡のような壁「グレートウォール」があり、ぐるりと銀河系を取り囲んでいるそうだ。この宇宙の大構造は、宇宙の膨張の始まりの頃に存在した密度のゆらぎが原因で作られたと考えられているそうだ。


(Ref.「暗黒宇宙の謎:谷口義明著」、「一冊で宇宙と地球のしくみをのみこむ本:懸秀彦監修」、)

太陽系のこと

太陽を中心として、地球などの惑星、無数の小惑星や彗星、惑星の間に散らばるガスやちりなどでできている天体の集まりを「太陽系」という。火星を木星の間には小惑星帯がある。岩石惑星(地球型惑星)は、水星、金星、地球、火星で、巨大ガス惑星(木星型惑星)は、木星、土星で、氷惑星(天王星型惑星)は、天王星、海王星だ。
今から約50億年前、銀河系の片隅で、一つの星が超新星爆発を起こし、その衝撃波は宇宙空間のガスの中を伝わっていき、ガスに濃い部分と薄い部分ができ、その濃い部分を中心にガスが集まって渦を巻き、密度がさらに高くなって回転が速くなりまわりにガスとちりの円盤ができたと考えられている。やがて、円盤の上と下に「ジェット(ガスとちりの流れ)」が噴き出し、中心部分は非常な高温・高圧の状態になり温度が上がって輝くようになったのが「原始太陽」の誕生だと考えられている。
まわりにあるガスはだんだんと冷えていき、たくさんの小さな固まりになり、これがぶつかって次第に大きくなって、直径が10キロメートル程度もある微惑星が生まれた。微惑星はさらに衝突を続けてさらに大きな惑星へと成長していったと考えられている。原始太陽に近い惑星では、ガスが蒸発してほとんど無くなり、岩石と金属からできた「地球型惑星」が誕生した。また、ガスなどが多量にあった木星以遠の惑星は、巨大なガスの固まりの「木星型惑星」が誕生した。こうして太陽系が生まれたと考えられている。


(Ref.「一冊で宇宙と地球のしくみをのみこむ本:懸秀彦監修」、)

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